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大規模空間向けの空気浄化技術が浮遊ウイルスの低減に効果を持つことを確認

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三菱重工パワー環境ソリューション株式会社(社長:加賀見守男、本社:横浜市中区、以下、弊社)は、24m3の閉鎖空間内で行った共同実験により、弊社保有の大規模空間向けの空気浄化技術(予備荷電部と捕集用フィルタの組合せ技術、以下、当該技術)が、空間中に浮遊させたヒトコロナウイルス※1

低減しうることを確認しました。

 ※1  実験に使用したヒトコロナウイルス(HCoV-OC43)は人間に感染する風邪ウイルスの一つで、

    新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)と同じβ型コロナウイルスに分類されるものです。

1. 共同研究概要

弊社は、独立行政法人国立病院機構仙台医療センター ウイルスセンター(センター長:西村秀一博士)、株式会社メディエアジャパン(代表取締役:阪田総一郎博士)、株式会社増田研究所(代表取締役:細川俊介博士)との共同研究により、当該技術が閉鎖空間内の浮遊ウイルスを低減するか否か、効果を検証した。

2. 実験内容

(1)実験場所

独立行政法人国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルスセンター

(2)実験方法

温度:20±1℃、湿度:55~65%RHに維持した24m3実験チャンバー内に、ヒトコロナウイルス液を噴霧器で浮遊させた後、当該技術を使った実験装置(処理風量:約5m3/min)を稼働させ、ゼラチンメンブレンフィルタを用いて経過時間ごとの浮遊ウイルスを採取し、ウイルス個数の低減量をRT-PCR(Reverse Transcription PCR)法で評価した。また、空間内にオゾンがほとんど存在しない条件(濃度:0~4ppb)に設定した。

(3)実験結果

装置実験(予備荷電部稼働と捕集用フィルタ設置、ファン稼働による効果を探る実験)条件では、30分間で浮遊ウイルス個数が98.4%低減した。(図1参照)

                       

                                                    図1. ヒトコロナウイルスRT-PCR実験結果

     30分間での浮遊ウイルス個数の低減効果を百分率で示したもの

(4)考察

当該技術は、HEPAフィルタや準HEPAフィルタに比べ通気抵抗が小さいが、それにもかかわらず空間内の浮遊ウイルスを高効率で低減可能との結果を得た。

このことから、当該技術は通気抵抗を小さく抑えつつ、高効率なウイルス捕集機能を持つ大風量処理システムとして適用できるものと考えられる。

 ※本実験は基礎的な条件下におけるウイルス抑制効果を調査するものであり、実使用環境での性能を

  保証するものではありません。

 ※※RT-PCR以外に、感染価やパーティクルカウンタデータでの評価も実施しており、当該技術が

   浮遊ウイルスの低減に効果があることを確認しています。

 ※※※また、温度:20±1℃、湿度: 20~25%RH条件でのインフルエンザウイルスを使った実験も

    同様に実施しており、当該技術が浮遊ウイルスの低減に効果があることを確認しています。