浸漬型膜分離生物処理技術
膜分離活性法泥法
近年の膜コスト低下により、下水・生活排水処理における膜分離技術導入は現実的な選択となってきています。90年代に入りポリエチレン製中空糸膜及びポリオレフィン製平膜で代表される膜分離活性汚泥法(MBR:Membrane Bioreactor)用のMF膜が開発され、高濃度の活性汚泥に浸透してろ過する画期的な方法が確立されました。
浸漬型膜分離装置(MMBS:Mitsubishi Membrane Bioreactor System)はMF膜を利用した膜分離活性汚泥法(MBR)で、沈殿池や砂ろ過施設等の削減と用地面積の削減によるコスト低減効果や、高度な処理水質が得られるなどの多くのメリットが得られます。
膜分離活性汚泥法の主な特徴と従来方法との比較
設置面積が少ない
膜による固液分離のため沈殿設備が不要。
生物反応槽が高濃度保持のためコンパクトとなり、引き抜き汚泥も高濃度のため汚泥濃度設備が不要。
汚泥濃度が不要
生物反応槽のMLSS(mixed liquor suspended solids)濃度が高い(8000~15000ミリグラム/リットル)ため引き抜き汚泥をそのまま脱水処理することが可能。
運転管理が容易
日常管理項目が少なく、汚泥の沈殿性管理も不要。
水質が極めて良好
膜による固液分離のため清澄な処理水が得られる。
流入汚水の負荷変動に強い
膜による固液分離のためバルキング等沈降性に関する汚泥性状悪化はほとんど影響を受けない。
リサイクルシステムに最適
簡単な殺菌によりトイレ排水等雑用水に再利用可能。
RO膜との併用によりボイラー補給水等の高度な要求への再利用も可能。
基本フロー
各種ろ過膜の処理領域と用途
排水処理水質の事例
項目 | 合併浄化槽 | 洋菓子製造排水 | 畜産排水 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
原水 | 設定値 | 実測値 | 原水 | 処理水 | 原水 | 処理水 | |
pH(mg/l) | 5.8~8.6 | 5.8~8.6 | 7 | 4 | 7 | 7.6 | 6.3 |
BOD (mg/l) | 200 | ≦5 | 0.5 | 2,000 | 3 | 18,000 | 2 |
COD (mg/l) | 150 | ≦10 | 5 | 600 | 12 | 4,800 | 130 |
SS (mg/l) | 250 | ≦5 | < 1 | 1,500 | < 1 | 12,000 | < 1 |
T-N (mg/l) | 50 | ≦10 | < 6 | 50 | 1 | 3,100 | 60 |
T-P (mg/l) | 5 | ≦0.5 | < 0.5 | 20 | 1 | 370 | 120 |
項目 | 地ビール排水 | 乳業排水 | ||
---|---|---|---|---|
原水 | 処理水 | 原水 | 処理水 | |
pH(mg/l) | 6 | 7.4 | 6.6 | 7.6 |
BOD(mg/l) | 1,000 | 5.4 | 1,100 | 2.7 |
COD(mg/l) | 460 | 30 | 280 | 8 |
SS(mg/l) | 69 | < 1 | 170 | 1.6 |
T-N(mg/l) | 42 | 34 | 65 | 2 |
T-P(mg/l) | 21 | 20 | 9.4 | 0.5 |