集じんの原理

バグフィルタの原理と構造

バグフィルタは、ろ布と呼ばれる織布や不織布を用いて処理ガス中の煤じんをろ過捕集する集じん装置です。ろ布を円筒状の袋にして吊り下げたことからバグフィルタと呼ばれています。大型のバグフィルタ内は、集じん室を数室に区分けしています。それぞれの集じん室には、筒状に縫製したろ布が取り付けられたろ過筒が多数設置されており、集じん室の下部にはろ過筒から払い落とした煤じんを集めるためのホッパがあります。バグフィルタの集じん原理は、ろ布表面およびろ布内部に付着堆積した煤じん層(一次煤じん層)で処理ガスに含まれる煤じんをろ過捕集します。一般に処理ガスがろ布を通過するろ過速度は0.3~2m/分程度、圧力損失は1~2キロパスカルです。ろ布表面に捕集した煤じん層が厚くなるとバグフィルタの圧力損失が上昇するので、捕集煤じんを間欠的に払い落します。煤じん層の払い落しは、(1)ろ布の裏面からガスを流す、(2)振動を加えるなどの方法によって行います。バグフィルタの集じん率はほとんどの場合で99パーセント以上、出口煤じん濃度は10mg/m3N程度となります。バグフィルタはガス温度、湿度、ガス成分および煤じんの特性に合わせたろ布を選定することが重要となります。ろ布の寿命は数年で、ガスや煤じんの特性で大きく異なります。

バグフィルタは電気集じん装置に比べて設備費は安価ですが、ろ布の交換などの維持費、圧力損失を補う運転動力費はやや高くなります。工業プロセスで処理ガス量が中程度以下の集じんシステムとして、バグフィルタは広く使われています。

払い落とし方式

バグフィルタには筒状に縫製したろ布とろ布支持枠から構成されたろ過筒が多数取り付けられます。処理ガスはろ布の表面でろ過して、清浄なガスが流れます。捕集した煤じんは(1)パルスジェット方式、(2)脈動逆圧方式などの払い落し方式でろ布から払い落とします。これらの方式の構造と特徴を表に示します。パルスジェット方式の処理ガスろ過速度は、脈動逆圧方式の1.3~1.6倍(当社比)と高速ろ過が可能で、集じん装置を小型化できます。脈動逆圧方式は大口径で長尺のろ布を使用でき、ろ布の寿命がパルスジェット方式よりも長い利点があります。

払い落し方式 脈動逆圧方式 パルスジェット方式
構造
特長
  1. ろ過速度
  2. ろ布サイズ
  3. ろ布寿命
  4. 圧力損失
中速
大口径長尺ろ布
3~5年
1.5キロパスカル程度
高速
中口径中尺ろ布
2~4年
1.5キロパスカル程度

パルスジェット方式の払い落とし機構

ろ過筒の上部から圧縮エアを瞬間的に噴射することで、パルスジェット気流をつくり出し、ろ布の表面に堆積した煤じんを払い落とします。