Q&A

回収装置に関する疑問やよくある質問を掲載します。

溶剤回収装置(以下SRP)とは何ですか?
排出ガス中に含まれるVOC(揮発性有機化合物)を活性炭に吸着させた後、水蒸気により脱着して、溶剤を回収する装置です(弊社方式:固定層 粒状炭水蒸気脱着方式)。
SRPを設置することで今まで大気放出していた溶剤を再利用出来るようになるため、製品製作におけるコスト削減と省資源に多大な貢献をする設備です。
SRP装置が地球温暖化防止対策となりますか?
なります。溶剤含有ガスを燃焼処理すると、二酸化炭素(以下CO2)が排出されます。
SRPでも活性炭の脱着に水蒸気を使用するため、ボイラ燃焼によるCO2が排出され、間接的にCO2 を排出しているとも言えますが、燃焼処理に比べその量を低く抑えることが可能です。
SRPと蓄熱式燃焼装置でCO2 の排出量を比較した場合、一例として以下の通りです。

溶剤ガス条件:30,000m3N/h トルエン1,000ppm、稼動時間6,000時間/年 SRP=770トン/年
(必要蒸気発生に伴うCO2排出量)
蓄熱式燃焼装置=2,500トン/年(トルエン燃焼処理によるCO2 排出量)

このように約1/3以下にCO2 発生量を抑制することが出来ます。
回収溶剤は再利用出来ますか?
弊社納入先のほぼ全てのお客さまで回収溶剤の再利用をして頂いております。
SRPは回収溶剤を再利用して頂くことで、大きな導入メリットが生じますので、再利用可能な性状・条件等を協議させて頂き、計画・設計に反映します。
当社SRPの特徴は?
「固定層(吸着槽)」・「粒状炭」・「水蒸気脱着」が弊社SRPの特徴です。
各々以下の長所によって、高効率回収・低ランニング・少メンテナンスが実現されます。

「固定層」 :吸着槽内に活性炭が静置されているため、活性炭の磨耗が非常に少ない。
溶剤ガスがショートパスすることなく活性炭層を通過し吸着されるため効率がよい。
「粒状炭」 :溶剤ガスとの接触面積が大きいため、他活性炭と比べ閉塞による劣化が少ない。
「水蒸気脱着」:水蒸気で上部から洗い流す(脱着)ため、紙粉やシリコン等の不純物に強い。
活性炭への吸着・脱着とは?
溶剤を含んだガスが活性炭を充填した吸着槽を通過した際に、溶剤が活性炭に吸着されます。活性炭には細孔と呼ばれるミクロン単位の孔があり、ここに溶剤が吸着されます。
一定量を吸着した活性炭に水蒸気を流すと、溶剤が洗い流され(脱着)蒸留気となり回収されます。
再生された活性炭には再度溶剤ガスが流され、このサイクルの繰り返しにより装置が運転されます。
活性炭には色々な種類があるのですか?あればどんな種類ですか?
あります。
弊社は「粒状炭」と呼ばれる活性炭を使用しています。
その他は、繊維炭・ビーズ炭と呼ばれるものがあります。溶剤が吸着される原理は全て同一です。
活性炭の耐用年数は?
回収溶剤の種類とガス中の不純物有無に大きく左右されるため一概には言えませんが、参考としてトルエン回収で、不純物が紙粉程度であれば弊社実績として10年交換することなく吸着性能を維持しているプラントもあります。
どの活性炭が一番良いのですか?
良・否ではなく、適・不適といえます。
溶剤の種類や不純物の有・無によりどの活性炭が適しているか判断されますが、前述の通り「粒状炭」と「水蒸気脱着」の組み合わせが不純物等の対策として優れていると思われます。
また、「粒状炭」で吸着出来ない溶剤は他の活性炭でも吸着出来ません。
吸着性能が低下した活性炭はどうすればいいのですか?
吸着性能が低下した活性炭はメーカ工場での再生処理により再使用が可能です。
尚、使用条件により再生が困難な場合がありますので、その際は新炭搬入時に旧炭を引取り処分致します。
爆発や火災の危険性と対策は?
各々の溶剤には爆発下限界(この濃度以下であれば爆発しないという値)がありますが、弊社では通常、原ガス濃度の偏在を考慮して、爆発下限界1/4以下での装置設計を推奨しています。
構成部品には防爆品を使用し、各種安全インターロックを装備していますので安全に運転可能です。
SRPの回収効率は?
溶剤の種類により異なります。
トルエンの場合、プラントタイプで初期性能最大99パーセント以上の効率が期待出来ます。
パッケージタイプに22,000m3N/h型以上はないのですか?
製作は可能ですが、輸送限界の関係から装置製作工場での組立範囲が少なくなり、現地における据付工事範囲がプラントタイプと大差なくなります。
溶剤含有ガスを発生する生産設備が複数あるが、各々にSRPを設置することになるのですか?
通常は各生産設備からのガスをダクトにより集煙し、1基のSRPで処理しますが、各々の溶剤組成や稼働時間等が大幅に異なる場合は、個別(種別)に設置した方が有利な場合もあります。
また、生産設備同士が離れて設置されている場合はダクトを引き廻すより、個々に装置を設置した方が設備投資費が低いこともあります。
生産設備の負荷変動が大きいが、装置に問題ありますか?
ありません。
原ガス負荷カウンタ制御・インバータ制御システム等のオプションを装備することで、省エネを行いながら問題なく運転可能です。
工場周辺に民家があるため、装置の騒音はどのくらいですか?
装置側近や敷地境界での騒音値をご提示下さい。
原ガスブロワ、ダクト及び配管への防音ラギングにより騒音低減対策を行います。
場合によっては防音室を設置し、原ガスブロワ等の騒音源を室内設置します。
SRPで臭気問題が解決出来ますか?
SRPは脱臭装置ではありませんので、臭気を除去することは出来ませんが、弊社実績ではトルエンはSRPを導入することで、大気放出時に比べ臭気を殆ど感じなくなります。
但し、溶剤は種類によって臭いの強さ(臭気強度)が様々ですので注意が必要です。
また、臭気問題は感覚公害とも言われ、臭気源の特定や対策後の効果判定が非常に難しいと言われております。
官能試験等、問題解決の為の手法提案を個別に検討させて頂きます。
SRP導入したいのですが、リースによる導入は可能ですか?
可能です。
SRP設置に際して官辺への届出は必要ですか?
基本的には所轄の消防署、労働基準局、県(市町村)への届出が必要です。
SRP設置後の日常及びメンテナンスに専任者は必要ですか?
法的には必要ありません。
起動時/停止時及び運転中に2~3回/日の見回りを行って頂ければ十分です。
SRP設置後の運転管理や補修はどうすればいいのですか?
SRP設置後に運転要領説明会の実施や取扱説明書をご提示し、運転管理はお客さまにお願いしています。
補修は配管補修等の小工事から、能力増強(処理風量アップ等)等の改造工事まできめ細かい対応をさせて頂きます。
定期点検の必要がありますか?
長期間安定して装置を稼動させるためには、ある程度の点検は必要です。弊社としては設置後1~2年毎に装置点検をご用命頂けるようお願いしています。
装置稼動中と装置停止中の点検を行うことにより、予防保全も含めたメンテナンスをご提案させて頂きます。
SRPに法定点検に該当するものはありますか?
留精製分離設備を導入頂いた場合、その多くにリボイラが含まれます。
第一種圧力容器に該当するリボイラが含まれる場合は、労働基準局による年1回の法定点検が必要です。
SRPにはどんな補修項目があるのですか?
清掃(総合タンク、セパレータ、コンデンサ、計装ライン)、吸着槽用制御弁整備、回転機器ベアリング交換等が挙げられます。
使用条件やユーティリティー性状により頻度も含めて大きく異なりますが、弊社実績では通常設置後2~3年はグリスアップ等の日常管理程度で、問題なく運転可能です。
SRPの耐用年数は?
法的な耐用年数はSRPとしては設定されていませんので、生産設備に準ずることになります。
実際の耐用年数は明言出来ませんが、納入後30年経過し現在も稼動中のプラントも数多くあります。
SRPの大きさはどのくらいですか?
パッケージタイプについては、製品紹介のページをご覧下さい。
プラントタイプについては、風量とお客さまの希望設置スペースに応じて設計致しますので個別検討となります。ご参考までに納入実績例のページをご覧下さい。
設置場所が狭隘なので、屋上に設置したいのですが?
お客さまの建屋強度が十分であれば可能です 屋上設置実績も多数あります。
SRP設置場所は屋外に制限されるのですか?(屋内に設置できないか?)
屋内設置も可能ですが、換気と室温に十分な配慮が必要です(排気口を延ばし、屋外へ排気する等)。
概略の装置荷重(トン/平方メートル)はどのくらいですか?
パッケージタイプで約1トン/平方メートル(運転荷重)です。
プラントタイプは設置スペースにより大きく変動しますので、個別に検討させて頂きます。
セパレータ排水は、そのまま下水道に放流出来ますか?
溶剤の種類により排水性状が異なるため、個別に検討致します。
当社製ではない既設SRPのメンテナンスに困っているが相談に乗ってもらえますか?
ご相談下さい。
SRP方式によっては改造等対応可能な場合があります。
弊社では、「固定床水平型式」と呼ばれる他社製SRPの改造実績を有しています。
弊社方式は、「固定床上下流型式」であり、活性炭が汚れにくい溶剤ガス及び蒸気の流れ方向としています。