フィリピンの超々臨界圧石炭焚き火力発電所向けボイラー、蒸気タービン、発電機を受注 超々臨界圧方式の導入は同国初

 三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は、フィリピンの特別目的会社、サン・ブエナヴェントゥーラパワー(San Buenaventura Power Ltd.)が建設する出力50万キロワットのサン・ブエナヴェントゥーラ(San Buenaventura)超々臨界圧石炭焚き火力発電所向けボイラー、蒸気タービンおよび発電機を受注しました。EPC(設計・調達・建設)を担当する韓国の大林産業(Daelim Industrial Co., Ltd.)および三菱商事を通じて供給するもので、運転開始は2019年6月の予定です。

 今回のプロジェクトは、フィリピンで初の超々臨界圧方式の発電所となるもので、首都マニラ東方約100キロメートルのケソン州マウバンに位置する電力会社、ケソンパワー社(Quezon Power(Philippines)Limited Company:QPL)のケソン発電所敷地内に増設されます。燃料はインドネシアから輸入される亜瀝青炭で、運転開始後は、長期の売電契約に基づき、同国最大の配電会社、メラルコ社(Manila Electric Company)に発電した電力の全量を売電して、地域の旺盛な電力需要に応えることとなります。

 サン・ブエナヴェントゥーラパワーは、ともに発電会社であるタイのElectricity Generating Public Company Limited(EGCO)とフィリピンのMeralco PowerGen Corporation(MGEN)が共同出資する特別目的会社です。EGCOには三菱商事と東京電力がそれぞれ12.286パーセントを出資しています。また、MGENはメラルコ社の発電子会社です。

 当社は、幅広い炭種を燃料として利用できるボイラーを設計・生産する技術を有しており、数多くの運転実績を踏まえた低環境負荷型バーナーや幅広い炭種に適用可能な高性能ミルを採用することで、高い発電効率を実現するとともに、NOx(窒素酸化物)やCO2排出量も抑制することができます。

 当社は今後も、この優れた技術を活用して、石炭火力発電設備の需要増加が期待されるフィリピンをはじめとする東南アジアや、東欧、中南米、アフリカなどで積極的な営業を展開する方針で、地域で異なる多種多様な燃料源や燃料性状に柔軟に対応することで、広範な国・地域における電力安定供給と環境負荷低減に貢献していきます。

  • 超々臨界圧:通常(大気圧=1気圧)の環境では水は100℃で沸騰しますが、圧力を高めれば沸騰する温度が100℃以上になり、さらに圧力を高めて374℃、22.12MPa(大気圧の約220倍)に至ると、水は沸騰せずに水蒸気に変化するようになります。これを臨界点と呼び、それよりも温度が高い状態を超臨界圧、593℃まで高温にした状態を超々臨界圧と呼びます。近年、発電効率を高めるため、超臨界圧および超々臨界圧のボイラーや蒸気タービンなどの需要が高まっています。

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