水素100%のクリーンな発電を目指して

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2020-03-10
Hydrogen Gas Turbines

Hydrogen Gas Turbines
 

顧客 Intermountain Power Agency(IPA)
プラント Intermountain Power Plant(IPP)
総出力 84万kW
国・地域 アメリカ合衆国(ユタ州)
主要製品 M501JAC形ガスタービン(水素焚き設備)
スケジュール 2025年 水素30%混焼
2045年 水素100%専焼

概要


グリーン水素だけでの発電を目指した夢のプロジェクトが始動

  • グリーン水素だけでの発電を目指した夢のプロジェクトが始動
  • アメリカ、ユタ州はカリフォルニアに近い西海岸に位置しています。ラスベガスに近く、自然に溢れており、空気が澄んだとても美しい場所です。ユタ州最大の都市であるソルトレイクシティは、グレートソルト湖から近く、2002年に行われた冬季オリンピックの会場として、一躍有名になりました。またユタ州は塩の生産が盛んであり、伝統的な産業として畜産や農業、鉱業も知られています。近年はヒル空軍基地周辺に航空宇宙産業の拠点が発展し、さらに、この地域の住みやすさや治安の良さ、起業精神の奨励を理由に、テクノロジー産業も発展しています。

    ソルトレイクシティの南西約140kmにインターマウンテン電力(IPA:Intermountain Power Agency)が所有する発電所があります。1980年代に、IPAはユタ州の砂漠に石炭を燃料とするインターマウンテン・パワー・プラント(IPP)を建設。急成長する南カリフォルニアを含む6つの州の新たな電力供給先として、運転を開始しました。IPPの総発電量は約180万kWで、そのほとんどがカリフォルニア州に送電されています。

  • 2000年代に入って、カリフォルニア州議会は、石炭を燃料とする発電を禁止する一連の規制を導入し、2045年までに電力の100%をCO2の排出がないエネルギーで賄うという法案を可決しました。これに対応すべく、IPAは、新規プロジェクト「IPP Renewed Project」に着手。2025年までに、石炭を燃料とする発電を停止し、水素への燃料転換が可能な天然ガスによる発電に転換することを発表しました。

    2020年3月に三菱重工は、このIPAが計画する水素を利用したガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電プロジェクトを受注。84万kW級の発電設備を2025年に水素混焼率(体積比による混合比率)30%で運転を開始し、2045年までにCO2排出量ゼロの水素100%での運転を目指します。

  • Hydrogen Gas Turbines

導入成果


2045年までにCO2排出量ゼロの発電所を実現

  • 2045年までにCO2排出量ゼロの発電所を実現
  • 今回のプロジェクトは、水素混焼率30%で発電時に排出されるCO2を、従来型石炭焚き火力発電に対して約75%削減することできます。2045年の水素100%では、発電時のCO2排出ゼロを実現することが可能に。

    さらにこの発電設備で使用される水素は、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーから水の電気分解で作られた「グリーン水素」が使われる予定です。水素は様々なエネルギー源から作ることができますが、化石燃料から作られる場合は、その製造過程でCO2が排出されてしまいます。グリーン水素はCO2を排出せずに作ることができる為、このプロジェクトは燃料から発電まで、全体においてカーボンフリーな電力を作ることが可能になります。

    当社は1970年代以来、水素を燃料として使用する約30の発電所向けにガスタービンを納入した実績を有しており、総運転時間は350万時間以上に達しています。世界最先端の水素燃焼技術を通じて、電力の安定供給とカーボンフリーが両立する水素社会の実現に貢献していきます。

ソリューション


水素の調達から発電設備の建設・保守まで、ワンストップで引き受ける

  • 三菱重工は、米国法人を通じてM501JAC形ガスタービン2基を高砂製作所(兵庫県高砂市)、蒸気タービンならびに発電機2基を日立工場(茨城県日立市)から供給。その他必要な設備や補機類は米国法人が調達・供給を手掛けます。併せて20年間の長期保守契約(LTSA)も締結し、段階的な水素混焼率の引き上げも計画的におこなうことが可能です。

    また発電時に使用する水素は、マグナムデベロップメント社と共同で進めているAdvanced Clean Energy Storage プロジェクトから供給されます。このプロジェクトは、再生可能エネルギーを利用した水の電気分解により取り出した水素をユタ州の岩塩空洞に貯蔵して、発電をはじめとするエネルギー生産に活用する事業です。三菱重工は、岩塩空洞の開発・運営会社であるMagnum Development社と共同で、100%再生可能エネルギー由来では世界最大級となる、このグリーン水素ハブの開発を進めています。この貯蔵施設では、220MWの水電解装置を使って、1日あたり最大 100トンの水素製造を実現します。

  • 水素の調達から発電設備の建設・保守まで、ワンストップで引き受ける

顧客の声


  • 顧客の声
  • インターマウンテン電力のゼネラルマネージャー

    Cameron Cowan

    私たちのミッションはカーボンフリーなエネルギーを使い、信頼性のある電力を手頃な価格で提供することです。今回のプロジェクトは既存の地域エネルギーインフラに、私たちのミッションを達成するための理想的なモデルを提供できる機会だと思っています。

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