サウジアラビアのガスタービン補修工場が操業を開始 更なる工場拡張を決定
三菱日立パワーシステムズ(MHPS)がサウジアラビアのペルシャ湾岸最大の港湾都市ダンマンに建設していた、ガスタービンの保守・管理のためのMHPS Saudi Arabia Co. LLC(MHPS-SAU)補修工場が竣工し、7日(現地時間)から本格的な操業を開始しました。同国の国営石油会社であるサウジアラビアン・オイル・カンパニー(サウジアラムコ:Saudi Arabian Oil Company)との企業間包括購買契約(Corporate Procurement Agreement:CPA)に基づくサービス拠点で、当社は今後、この工場をさらに拡張していく方針です。
現地では同日、これを記念して工場開所式が開催されました。式典には、サウジアラムコのアブドゥラアジズ・アル・アブドゥラクレイム(Abdulaziz Al-Abdulkarim)副社長をはじめ同社の関係者多数が列席、当社からは河相 健 取締役常務執行役員が出席しました。
MHPS-SAU補修工場は、当社のサウジアラビア拠点であるMHPS-SAUが運営するものです。
当社が2014年11月にサウジアラムコと締結したCPAは、石油・ガスプラントの中核動力機器であるガスタービン向けの機器・サービス・代替部品を供給する契約で、14年間の長期保守契約(LTSA)も含まれています。対象となるのは、三菱重工業が2004年以降に同社に供給したガスタービン11基です。
MHPS-SAUはこの契約に基づき、新設の工場において、ガスタービンの保守・管理や代替部品の供給、さらにはリモートモニタリングなどを行って、サウジアラムコのプラント設備の安定的かつ高効率な稼働に貢献していきます。
当社はこの新拠点を、石油・化学プラントなどで使用されるコンプレッサおよびその駆動用タービンの補修拠点としても活用していく考えです。具体的には、2017年から、同じ三菱重工グループ企業である三菱重工コンプレッサ株式会社(MCO)と協力して、同社がサウジアラビアに納入したコンプレッサとその駆動用タービンの保守・点検を手掛けます。そのため、一部補修機器についてはガスタービン用と共用・相互融通をはかる一方、この新拠点の敷地面積を倍増させて工場を拡張、また、20トンの大型旋盤や低速バランスマシンなどを新たに導入して、その体制を整えます。
MCOはこれまで、サウジアラムコやサウジアラビア基礎産業公社(SABIC:Saudi Arabia Basic Industries Corporation)など向けに200基超のコンプレッサとその駆動用蒸気タービンを納入しています。そのための補修は従来、サウジアラビアの国外で行っていましたが、これを現地で実施することで、さらに顧客に密着したタイムリーなサービス提供に努めていきます。
さらには、拡張した同工場の機材を利用して、三菱重工がサウジアラビアに納入した250台以上のポンプの補修拠点としての活用も検討していく予定です。
サウジアラビアは現在、外国企業の誘致による産業多角化とサウダイゼーションと呼ばれる自国民の雇用促進政策を積極的に推進しています。MHPS-SAUのサウダイゼーションは現在50パーセントで、プラティナと呼ばれる4段階のうち最もサウジ人雇用比率が高いカテゴリーに分類されていますが、今後も引き続き、事業、雇用両面で現地化を進めていきます。
MHPSの河相 健 取締役は次のように述べました。「サウジアラムコとは、MHPSのみならず、三菱重工グループ全体で多面的、重層的関係を築いていく考えです。MHPS-SAUはガスタービン、コンプレッサに続き、三菱重工が手掛けるプラント用ポンプの補修拠点としての活用も検討していく方針です。社業を通じてサウジアラビアの永続的発展の一助となれば、これほど嬉しいことはありません。」
MHPSおよび三菱重工グループは、今回の新拠点開設を機に、サウジアラビアでの一層のプレゼンスの向上を目指すとともに、今後も同国のニーズに即した、経済的で信頼性が高い多様なサービスの提供を推進していきます。
以上