勿来IGCCパワー合同会社向けに石炭ガス化炉圧力容器を出荷開始 福島県いわき市で進む54万kWの石炭ガス化複合発電プロジェクトで

◆ 長崎工場で記念式典を開催
◆ 2017年6月竣工の石炭ガス化炉工場で製作した初号機
◆ 2020年9月の運転開始に向けて、中核機器となる石炭ガス化炉圧力容器の初回出荷

 三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は、石炭ガス化複合発電(IGCC:Integrated coal Gasification Combined Cycle)設備の中核となる石炭ガス化炉について、6月22日に長崎工場(長崎市)から出荷を開始しました。勿来(なこそ)IGCCパワー合同会社(注)が福島県いわき市で建設している出力54万kWの勿来IGCC発電所向けに、同工場内の石炭ガス化炉工場で初めて製作したものです。以後、石炭ガス化炉圧力容器および付帯機器を順次出荷していく予定です。

 同日、長崎工場では、出荷開始を記念して式典を開催しました。当社から常務執行役員エンジニアリング本部長の若林 嘉幸(わかばやし・よしゆき)、執行役員長崎工場地域統括の石瀬 史朗(いしせ・しろう)らが出席し、勿来IGCCパワー合同会社と共同で安全祈願を行いました。

 石炭ガス化炉は、石炭を効率よくガス化するために、高温に耐え得るガス化装置と、高圧を保持する圧力容器から構成されます。今回出荷した圧力容器はその一部であり、他の部分も順次出荷していきます。当社は2017年6月、長崎工場で石炭ガス化炉工場を竣工させ、製作に取り組んできました。同工場は、高温高圧に対応したガス化装置と圧力容器を製作するため、従来の石炭焚き火力発電用ボイラーで培った溶接などの要素技術に加え、独自開発した自動溶接装置や、ITを駆使した生産方式を導入したものです。

 IGCCは、石炭をガス化炉でガス化し、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた高効率のコンバインドサイクル方式で発電することにより、従来の石炭焚き火力発電に比べ、発電効率を約10~15%向上させ、CO2排出低減にも寄与する画期的な発電システムです。2020年9月の運転開始が予定されている勿来IGCC発電所の建設には、世界最新鋭の石炭火力発電所の実現を通じて産業基盤の創出と福島県の復興に貢献していきたいという関係者の思いが込められています。

 MHPSは、勿来IGCCパワー合同会社が進めるプロジェクトへの参画を通じて、最先端の高効率発電技術であるIGCCの普及に取り組むことにより、エネルギーの低炭素化を促進し、地球環境の保全に貢献していきます。

  • 勿来IGCCパワー合同会社は、三菱商事パワー株式会社、三菱重工業株式会社、三菱電機株式会社、東京電力ホールディングス株式会社および常磐共同火力株式会社の5社が出資している会社です。
IGCCシステム概略系統図
IGCCシステム概略系統図
出荷式の様子
出荷式の様子
石炭ガス化炉容器
石炭ガス化炉容器

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