JAC形ガスタービンが高砂・T地点で運転8,000時間を突破 信頼性を示す一つの指標に到達
◆ 商業運転設備として受注に向けての強い追い風に
◆ 強制空冷システムの採用により冷却性能を向上、GTCC全体の起動時間も短縮
三菱日立パワーシステムズ(MHPS)の主力ガスタービンJ形の最新機種である強制空冷式のJAC(J-series Air-Cooled)形が、当社高砂工場内の実証設備複合サイクル発電所(通称T地点)におけるガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電で、このほど運転時間8,000時間を突破しました。運転8,000時間という実績は、ガスタービンの機種について、その信頼性を示す一つの指標となるもので、商業運転設備としての普及面でも受注に向けての強い追い風となることが期待されます。
T地点では2015年春に中核技術となる強制空冷技術を含めたシステム全体の検証試験を完了。2015年から運転を続けてきたものです。国家プロジェクトで1,700℃級の超高温ガスタービン要素開発に取り組み、その成果を活用することで世界初のタービン入口温度1,600℃を達成し高効率を実現。さらなる高効率化と運用性改善に向け、蒸気による燃焼器冷却に代えて新たに東北電力株式会社との共同研究により開発した強制空冷燃焼器を採用した強制空冷システムを開発・搭載したものです。
強制空冷システムは、燃焼器車室から抽出した空気を外部クーラーで冷却し、強制冷却空気圧縮機で昇圧、その後、燃焼器の冷却に用いたのち再び車室に戻す系統です。外部クーラーの排熱を排熱回収ボイラーや蒸気タービンなどのボトミングサイクル(注1)側で回収させ高効率を実現、燃焼器冷却構造を最適化することで蒸気冷却以上の冷却性能を発揮します。また、蒸気冷却に比べGTCC全体の起動時間を短縮できます。
当社副社長兼CTOの六山 亮昌(むやま・あきまさ)は、次のように述べています。「JAC形ガスタービンは2016年12月の市場投入以来、業界の新標準を確立しています。排熱利用による蒸気タービン発電との複合サイクルで57万5,000kW(60Hz)の発電能力を備え、発電効率64%、信頼性99.5%に到達します。当社の主力機種として世界中で受注活動を優位に進めており、市場調査レポート(注2)によれば、2018年1月から3月のガスタービン受注実績(出力ベース)では、世界シェア1位を獲得することができました。当社は今後も高い技術力に基づく、環境に優しいGTCC発電で業界をリードしていきます。」
J形ガスタービンシリーズは、2009年の市場投入以来、国内外で順調に受注を拡大しており、その受注累計は55基に達しました。うち28基が商業運転中で、累計運転時間はJ形全体で約60万時間に達しています。
MHPSは、T地点における運転8,000時間突破を弾みに、北米をはじめ世界各地で最新鋭機であるJ形ガスタービンを中核とする発電・コージェネレーション(熱電併給)設備の普及に一層力を注ぎ、世界各地の経済発展に不可欠な電力の安定供給に寄与するとともに、エネルギーの低炭素化を促進し、地球環境の保全に貢献していきます。
- 1ガスタービンサイクルの排熱を利用して、エネルギーを発生させるサイクル。
- 2世界の発電事業に関する詳細な市場調査資料を提供している米国のマッコイ・パワー・レポート(McCoy Power Report)に基づいています。
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