発電所ボイラーの内部点検用ドローンを実用化 停止期間短縮や定期点検間隔の延伸、緊急対応の迅速・適切化へ
◆ “手動操縦式”は開発を完了、本年4月のサービス提供開始を予定
◆ “自律飛行式”は試作機による技術検証を実施、2020年度中の実用化完了を目指す
三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は、発電所のボイラーなど大型屋内構造物の内部を円滑に点検できるドローン(UAV(注))を実用化します。手動操縦式UAVについては、昨年開発を完了しており、本年4月に点検サービスの提供開始を予定しています。また、自律飛行式UAVは、UAVの研究開発を行う株式会社A.L.I.Technologies(A.L.I.、代表取締役:小松 周平氏/片野 大輔氏、本社:東京都港区)と開発を進めているもので、昨年試作機による基礎技術検証が終了、2020年度中の実用化完了を目指しています。設備の停止期間短縮や定期点検間隔の延伸、緊急対応の迅速・適切化などに役立てるのが狙いです。
発電所ボイラー内部などの手動操縦による点検用UAVは、当社独自の耐衝突・耐環境技術を活用し、2016年度から開発を実施。以来、三菱重工業株式会社 総合研究所の支援を受けて当社の試験設備や実機ボイラーで検証試験を実施し、昨年12月に開発が完了しました。
また、自律飛行による点検用UAVは、2017年度からA.L.I.と当社のマルチ試験炉や実機ボイラー環境を模したモックアップ設備を使用して、共同研究開発を進めてきたものです。昨年9月に基礎技術の検証を行い、GPS(全地球測位システム)などの衛星測位システムを利用することなく自律飛行ができることを確認しました。GPSを利用した自律飛行式UAVの実用化はすでに進展していますが、ボイラー内部のような特殊環境下での運用技術は確立されておらず、実用化すれば画期的な技術となります。なお、A.L.I.は、UAV関連の研究開発等を展開する会社です。
MHPSは、発電所内部でのUAVを用いた検査技術を開発し、発電設備向けの高度なアフターサービスを提供することで、グローバル規模におけるさらなるエネルギーの安定供給、経済発展ならびに環境負荷の低減に貢献していきます。
- Unmanned Aerial Vehicleの略で、無人航空機を指すのが一般的です。
以上