プレスリリース

インテリジェントソリューション「TOMONI」をメキシコの地熱発電所に導入 
再生可能エネルギーによる分散電源の性能と信頼性を向上

◆ 地熱発電所向けでは初の導入、商用発電設備としての競争力を高める
◆ 顧客と緊密に連携しながら、発電設備の運用改善・性能向上を目指す

三菱パワーは、メキシコのナヤリット(Nayarit)州南部に位置するドモ・デ・サン・ペドロ地熱発電所(Domo de San Pedro Geothermal Power Station)に、当社のインテリジェントソリューション「TOMONI」を導入しました。同発電所は、効率と信頼性の向上を目的にTOMONIが導入された世界で初めての地熱発電プラントです。TOMONIを通じて運転データを監視、分析、モデル化することで、熱力学サイクルの最適化、スケール(注)蓄積の抑制、メンテナンス費用の低減、パフォーマンスを最適化・向上させる好機を確実につかんでいくことが可能となります。世界各地のガスタービンおよび蒸気タービンプラントの収益性向上に貢献しているTOMONIが地熱発電プラントにも適用されることで、商用発電設備としての競争力が向上します。

2016年に竣工した出力2万5,000kWの同地熱発電所では、生産井の経年変化により蒸気条件が最適設計から乖離しているため、これらの変化をカバーするために地熱発電所を最適化する必要があります。当社のインテリジェントソリューションTOMONIは、プラントの運転状態を診断・予測し、プラントの性能と信頼性を向上させる最適なソリューションを開発するためのツールを提供することが可能となっています。

三菱パワーは、生産井の状態やプラントの性能をリアルタイムに監視し、プラントの設計を通じて得られた豊富な経験に基づき各種データを分析することで、設備の運転・保守を最適化するためのソリューションを開発しました。例えば、スケール蓄積の指標である熱力学的性能の低下を遠隔監視することで、プラントの実際の運転状況に基づく最適なメンテナンス計画を策定することができます。また、当社が提供する遠隔監視・支援サービスにより、異常検知、早期の対策立案および運用支援を行うことで、計画外停電の発生を未然に防ぐことも可能となります。

同発電所を所有・運営しているGEODESA社(Geotérmica para el Desarrollo S.A.P.I. de C.V.)のオペレーション責任者フアン・ルイス・デル・バジェ・ルアルカ(Juan Luis Del Valle Luarca)氏は次のように述べています。「当社は地熱発電所建設における三菱パワーの専門性に満足しており、プラント運転最適化のために導入したインテリジェントソリューションTOMONIに関する同社の専門知識についてもさらに高く評価しています。両社のチームが連携してプラント監視およびデータ分析を行い、信頼性の高いクリーンパワーをお客様に提供するためのソリューションを開発することは、当社にとって大きな支援要素となります」。

一方、三菱パワー・アメリカ(Mitsubishi Power Americas, Inc.)でインテリジェントソリューションを担うマルコ・サンチェス(Marco Sanchez)は次のように述べています。「地熱発電は地中の熱水に由来する蒸気でタービンを回転させ、CO2排出量がゼロであることから、エネルギーの脱炭素化に重要な役割を果たすものです。TOMONIによるソリューションを地熱発電プラント向けにカスタマイズすることは、お客様に発電・蓄電ソリューションを提供し、低コストで信頼性の高い方法で気候変動に対応し人類の繁栄を推進するという当社のミッションをさらに具現化するものになります」。

三菱パワーは、今後もTOMONIによるサービスの提供を通じて地熱発電設備の運用最適化を追求することにより、発電所の経済性と信頼性を高めて顧客の収益力の向上に寄与するとともに、電力の安定供給と地球環境負荷の低減に貢献していきます。

  • 蒸気や熱水といった地熱流体中に含まれるシリカ(ケイ素)や炭酸カルシウムなどの不純物が配管設備等に析出したもので、スケールが付着することで配管閉塞や性能劣化などの問題を引き起こします。
ドモ・デ・サン・ペドロ地熱発電所(写真提供:Grupo Dragón)

以上