三菱パワー環境ソリューションが大規模空間向けの空気浄化装置を開発 オゾンの力でウイルスの活動を抑制
◆ 通気抵抗の小さい電気集じん装置と捕集用フィルタの組み合わせで、大風量処理かつ微粒子の高効率集じんを実現
◆ 放電技術利用により生成したオゾンを処理空間の大きさに合わせて最適に散布
◆ アリーナや劇場、ショッピングモール、病院等の大規模閉鎖空間を効果的に浄化することが可能
三菱パワーのグループ会社である三菱パワー環境ソリューション株式会社(社長:加賀見 守男、本社:横浜市中区)は、大規模空間を効果的に浄化する空気浄化装置を開発しました。発電設備の総合排煙処理システム(AQCS:Air Quality Control System)で培った電気集じん装置(EP:Electrostatic Precipitator)の固有技術を応用して、同社が2方式をシリーズ化したものです。
いずれも、放電技術を利用して装置内で生成したオゾン(注1)によりウイルスの活動を抑制(注2)する効果を備えており、静電気力で微粒子を高効率で捕集するタイプ、およびオゾン散布に特化した可搬型で必要な場所に移動可能なタイプから、用途に応じて選べます。大風量で処理が可能な空気浄化装置であるため、大規模閉鎖空間であるアリーナ等のドームや、空港、ショッピングモール、大型テーマパーク、病院等に幅広く導入することが可能。空間および目的に応じて空間解析等を行い、最適な設備・配置を提案することや、顧客のニーズに合わせて装置の大きさなどをカスタマイズすることも可能です。
2方式のうち、EPと捕集用フィルタおよびオゾン分解フィルタを組み合わせたのが「オゾピュア(Ozopure)」です。
標準型のオゾピュアは、定置独立タイプでEPの静電気力により微小粒子状物質(PM2.5)やウイルスのような微粒子を帯電させてフィルタにより捕集する仕組みで、花粉・黄砂等も除去します。また、夜間など人がいない時間帯には、オゾンを散布することで空間だけでなく床や壁面に存在しているウイルスの活動を抑制し、大規模空間の浄化を可能にします。
なお、このオゾピュアの機能については、新設または既存の空調設備にエアハン型オゾピュアとして追加設置することもできます。空調ユニットの内部に取り付けるもので、個別での設計に対応することが可能です。
一方、オゾン散布に特化した装置が「オゾンレイザー(Ozone Raiser)」で、オゾピュアよりも多くのオゾン生成能力を持ち、キャスター付きで必要な場所に移動させて広範囲にオゾンを散布することができます。
三菱パワー環境ソリューションは、三菱パワーの100%出資会社で、火力発電システム関連のAQCS事業のみならず、広く各種産業向けに集じん装置事業を展開しており、水処理装置事業および脱硫装置の国内アフターサービス事業も手掛けています。今回、大規模空間向けの空気浄化装置分野に進出することで、AQCSバリューチェーンのさらなる充実を目指すものです。
三菱パワーは、三菱パワー環境ソリューションなどグループの総力を挙げて、環境衛生分野における空気浄化装置の開発につなげ、安心して暮らせる社会の実現に貢献していきます。
ラインアップ製品の概要
製品名 | オゾピュア | オゾンレイザー | ||
---|---|---|---|---|
標準型 | エアハン型 | |||
電源 | 100V | 新設または既設の空調設備(エアハンドリングユニット)に組み込み、個別での設計に対応。 | 100V | 200V |
サイズ | 幅 850mm 奥行 700mm 高さ 2,000mm |
幅 700mm 奥行 1,350mm 高さ 1,200mm |
||
オゾン生成量 (オゾン生成部消費電力当たり) |
1.7g/h (8.5g/h/kW) |
15g/h (40.5g/h/kW) |
34g/h (42.5 g/h/kW) |
|
風量 | 3,000m³/h | 3,000m³/h | ||
消費電力(Total) | 1,100W | 800W | 1,200W | |
処理空間(注3) | ~1,800m³ | ~12,000m³ | ||
使用環境 | 有人/無人 | 有人 | 無人 | |
原料空気 | 周辺(室内)の空気 |
【製品の特長】
※今後設計進捗に応じて変更になる可能性があります。
1. オゾピュア
(1)標準型
- EPと捕集用フィルタの組み合わせにより、微粒子の捕集とオゾンの散布を両立した空気浄化装置です。(図1)
- 微小粒子状物質(PM2.5)や黄砂・花粉等の大気汚染物質に加え、ウイルスのような微粒子がEPで帯電し、静電気力により後段の捕集用フィルタに吸着されることで、95%以上の高効率で捕集されます。(注4)
- EPで生成したオゾンにより、フィルタで捕集されたウイルスの活動を抑制します。
- 日中の営業時間など人が集まる時間は、オゾン分解フィルタを通してオゾンを安全な濃度(作業環境基準である0.1ppm以下)まで低減した後、浄化空気を空間内へ供給します。(図2(a))
- 夜間など人がいない時間は、EPで生成したオゾンをそのまま空間内へ散布することで、空間・床・壁などに存在するウイルスの活動を抑制します。(図2(b))
(2)エアハン型
- 新設または既設の空調設備(エアハンドリングユニット)に微粒子捕集機能を付加した空気浄化装置です。(図3)
- EPとオゾン分解フィルタを追設(捕集用フィルタは弊社推奨品に交換)することで、オゾピュアの標準型と同等の捕集効果が得られます。
- 使用する空調設備仕様に合わせた個別での設計が可能です。
2. オゾンレイザー
- オゾン供給に特化したオゾン散布専用の空気浄化装置です。(図4)
- オゾピュアのような微粒子捕集機能はありません。
- キャスターが付いているため手軽に移動が可能で、オゾピュアよりも多量のオゾン生成能力があります。
- ドームやコンサートホール等、広い空間を均一に浄化したい場合に適しています。
- 人がいない時間に必要な場所に置くことで、広範囲に存在するウイルスの活動を抑制します。
- 1オゾンの安全に対する注意事項と対応について
- オゾンは濃度によっては人体に影響を及ぼすので、オゾンを発生させる本装置の取り扱いには十分な注意が必要です。
- 本装置にはオゾン濃度計を装備して対象空間のオゾン濃度を常時監視し、オゾン濃度が高くなると「オゾン濃度高」の警報発令とともにオゾンの供給を自動的に停止する機能を設けています。
- 有人環境下で運転可能なオゾピュアは、オゾン分解フィルタを通して安全なオゾン濃度(作業環境基準である0.1ppm以下)まで低減した浄化空気を空間内へ供給するように制御します。
- オゾン存在空間内での運転操作、運転監視を避けることができるよう遠隔操作が可能です。
- 2オゾンによるウイルスの活動抑制効果について
試験機関:公立大学法人 奈良県立医科大学(2021年6月に実施)
試験方法:新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を塗抹させたシャーレを静置し、弊社製品(オゾピュア、およびオゾンレイザー)と同じ放電方式で生成したオゾンガスを所定の濃度で一定時間曝露させた。作用時間後にウイルスを回収し、ウイルス感染価(PFU/mL)をプラーク法にて算出。
試験結果:各方式で生成したオゾンをウイルス感染価1.10×105(PFU/sample)の新型コロナウイルスに曝露させ、コントロール(自然減衰を含んだベース値)に対し以下の抑制効果(減少率)の結果を得ました。- オゾピュアのオゾン生成技術(コロナ放電方式)
- オゾン濃度:0.21~0.23 ppm、温度:27.7~29.3℃、湿度:51.9~53.3%RHにおいての減少率 60分後:84.1%、120分後:91.8%、240分後:99.4%
- オゾンレイザーのオゾン生成技術(沿面放電方式)
- オゾン濃度:0.21 ppm、温度:29.3℃、湿度: 55.2%RHにおいての減少率 240分後:97.4%
- オゾン濃度:0.70~0.77 ppm、温度:28.3~28.8℃、湿度:55.9~58.9%RHにおいての減少率 90分後:99.9%
特記事項:
- 本試験結果は、弊社の各製品が生成するオゾンについて、実際の使用空間で浮遊ウイルスに対する効果を実証した結果ではありません。
- オゾンのウイルスに対する一定の抑制効果が報告されていますが、これらはオゾンがウイルス感染症に対する予防効果を有することを意味したり、保証するものではありません。
- オゾピュアのオゾン生成技術(コロナ放電方式)
- 3処理空間について
- 弊社が検証試験にて、それぞれ以下の能力を確認した空間の大きさの最大値を記載
オゾピュア :微粒子大気塵(0.3~0.5µm)の捕集能力、およびオゾン散布能力
オゾンレイザー:オゾン散布能力 - 表中に記載した「処理空間(m³)」とは、各製品が、同容積中に存在するウイルスに対する抑制効果を有することを意味するものではありません。また、各製品が生成するオゾンによる新型コロナウイルスに対する抑制効果を実際の使用空間で実証した結果を表示するものではありません。
- 弊社が検証試験にて、それぞれ以下の能力を確認した空間の大きさの最大値を記載
- 4EPと捕集用フィルタの組み合わせによる微粒子捕集効果(95%以上)について
- 弊社試験データ、パーティクルカウンターで測定した捕集前後の微粒子大気塵(0.3~0.5µm)の個数濃度から捕集効率を算出したもの。
- 装置での捕集性能であり、空間における実際の捕集性能とは異なります。
- 本製品に関するお問い合わせ先
三菱パワー環境ソリューション株式会社 TEL(078)672‐4119
以上