世界最大級の火力発電用ボイラー燃焼試験設備が竣工 三菱重工と日立の燃焼技術を一体化
三菱日立パワーシステムズ(MHPS)が三菱重工業・長崎研究所(長崎市)内に建設を進めてきた火力発電用ボイラー燃焼試験設備が22日、竣工しました。最先端の計測装置を備えた石炭燃焼量4トン / 時という世界最大級の容量を持つ燃焼試験設備で、三菱重工と日立製作所(旧バブコック日立含む)の燃焼技術を一体化して、低NOx(窒素酸化物)、低未燃分、低空気過剰率など、ボイラー性能の根幹をなす燃焼技術の高度化を実現するのが狙いです。
現地では同日、これを記念して竣工式および火入れ式が開催されました。式典には、三菱重工業から児玉敏雄取締役常務執行役員CTO技術統括本部長兼ICTソリューション本部長が、また、MHPSからは馬渕洋三郎副社長執行役員ほかが出席しました。
今回の火力発電用ボイラー燃焼試験設備は、実機ボイラー火炉内でのバーナー燃焼・流動状態の正確な再現と、これを評価する燃焼計測装置の高度化など、最先端の技術開発を支える設備機能の強化を実現したものです。燃料は実機で使用される瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭、無煙炭、バイオマス、石油、コークス、残渣油など多岐にわたる種類を対象としており、価格の安い低品位燃料に対する燃焼評価機能を大幅に高めて、顧客最大のニーズである燃料費低減と稼働率向上、さらには環境負荷低減に貢献します。
MHPSは三菱重工系の旋回燃焼型と日立(旧バブコック日立)系の対向燃焼型の2種類のボイラーを有していますが、本設備は両方の試験に対応可能な機能が導入されているのが特徴です。MHPSは当面、両ボイラー方式の高性能化を加速していく方針です。また、両方式交流のシナジーを得て、新型ボイラーや新たな燃焼方式の開発も目指します。
ボイラー市場は、国内外で火力新設・更新案件が増加するに伴い拡大傾向にありますが、顧客は燃料コスト低減のため低価格燃料への指向を強めつつあります。当社はこれまでも差別化技術として、亜瀝青炭や褐炭をはじめとする低品位燃料への取り組みを強化してきましたが、今回、新たなボイラー燃焼試験設備を得たことで、この流れを一層加速、燃焼技術の高性能化をはかって、この拡大する市場で積極的な営業活動を展開していきます。
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