固体酸化物形燃料電池(SOFC)とマイクロガスタービン(MGT)の複合発電システム 業務・産業用の市場投入に向けた実証試験を開始
三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は21日、固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)とマイクロガスタービン(MGT)を組み合わせた加圧型複合発電システム(ハイブリッドシステム)の市場投入に向けた実証試験を開始しました。国立研究開発法人 新エネルギー・産業総合開発機構(NEDO)の助成(注)を受け、業務・産業用の実証機を東京ガス株式会社の千住テクノステーション(東京都荒川区)に設置して火入れ式を開催したもので、2017年度の市場投入を目標に、実証サイトも順次4カ所に広げていきます。
火入れ式には、経済産業省 資源エネルギー庁やNEDOなどから来賓が列席しました。実証試験では、発電に加えて排熱も有効利用するコージェネレ-ション(熱電併給)システムとしての技術評価を行います。
SOFCは、900℃の高温で作動するセラミックス製の燃料電池です。このハイブリッドシステムは、燃料の都市ガスを改質して取り出す水素や一酸化炭素と空気中の酸素を反応させて、直接電力を発生させた後、残燃料をMGTによる発電に使うもので、省エネ・高効率を実現します。MGTの圧縮機で昇圧した空気をSOFCに供給して発電に用いた後、高温排気をMGTに送り、その熱および圧力を残燃料とともに発電に利用。加圧により電圧が増大する加圧型SOFCの特性を、発電効率向上につなげます。
この実証機は250キロワット級、発電効率55パーセントで、2015年春から九州大学で実証運用されているプロトタイプ機(15式システム)に次ぐものです。
今後は実証サイトを、ハイブリッドシステムの共同開発に取り組むトヨタ自動車株式会社の工場、セルスタックの量産化で提携する日本特殊陶業株式会社(NTK)の工場、および大成建設株式会社の施設にも拡大。各種製造現場など多様な環境下での運用効率や運転性、耐久性などの検証に取り組むとともに、コスト低減や量産に向けたノウハウなどを蓄積し、市場投入につなげていきます。
MHPSは、今回の業務・産業用ハイブリッドシステムの市場投入に向けた実証試験を通じて、エネルギー・環境問題の改善に資する有力な選択肢であるSOFCの実用化を前進させ、その普及に貢献していきます。
- 助成事業の名称は「円筒形SOFC-マイクロガスタービンハイブリッドシステムの市場投入に向けた技術実証」(2015~2016年度)です。
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