ポーランドの首都ワルシャワに事業統括機能を備えた新事務所を開設 先進的な石炭火力発電システムやAQCSの需要開拓を強化
三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は、ポーランドの首都ワルシャワに17日(現地時間)、新しい事務所(Poland Branch Office)を開設しました。これまで同市内の2ヵ所に分かれていた、当社の欧州拠点法人が運用する事務所と、当社が同国内で受注したプロジェクトの遂行を手掛ける事務所を一体運営し、同国における事業展開の統括機能を持たせることにより受注拡大につなげるのが狙いです。当社は新ポーランド事務所を通じ、先進的な石炭火力発電システムや総合排煙処理システム(AQCS:Air Quality Control System)などの整備計画に関する商談開拓や顧客への提案を強化していきます。
新ポーランド事務所は、欧州拠点法人が事務所を置いていたワルシャワの中心街で新たな場所を選び、そこで同事務所とフレデリック・ショパン国際空港の近くにあった当社直轄のプロジェクト遂行事務所を一体で運営するために開設したもので、周辺には同国の政府機関や電力企業各社の本社もあります。現地では同日、開所式典が開催され、ポーランド政府を代表してエネルギー省(MoE:Ministry of Energy)幹部、在ポーランド日本大使館からは松富重夫特命全権大使のほか、現地の電力エネルギー業界、商社などから来賓が多数臨席。当社側からは安藤健司社長、藤谷康男副社長(兼欧州拠点法人会長)、欧州拠点法人のキーヒル(Rainer Kiechl)CEOらが出席しました。
ポーランドは世界有数の石炭資源国で、総発電量の約9割を石炭火力で賄っています。同国では2015年に発足した現政権が、エネルギー安全保障強化の観点から国内炭鉱業の再編・活性化を目指してMoEを新設。政府主導で、炭鉱の再編・合理化に取り組む一方、石炭埋蔵量の大部分を占める亜瀝青炭や褐炭などの低品位炭を有効活用できる高効率石炭火力発電システムの導入や、環境負荷低減に役立つAQCSの普及に力を注いでいます。
当社は、幅広い炭種に対応可能な独自の高効率燃焼技術を保有しており、同国向け石炭火力発電設備において大きな実績を持っています。現在、同国の発電会社であるエネア社(ENEA Wytwarzanie S.A.)が運営するコジェニッチェ(Kozienice)火力発電所の11号機建設プロジェクトで、出力107万5,000kWの瀝青炭焚き超々臨界圧火力発電設備を受注、2017年12月の運転開始に向けて建設中で、同発電所の1、2号機向けには選択触媒還元法(SCR:Selective Catalytic Reduction)による先進的な排煙脱硝設備を受注し、昨年に設置を完了しました。また、ポーランド国営電力会社(PGE:Polska Grupa Energetyczna S.A.)が運営するトゥルフ(Turów)火力発電所の11号機建設プロジェクトでは、出力45万kWの褐炭焚き超々臨界圧火力発電設備を受注。2020年半ばの運転開始に向けて建設を進めています。
MHPSは今後、新ポーランド事務所を通じて、石炭をガス化してコンバインドサイクル方式により発電する最先端の高効率発電技術であるIGCC(Integrated coal Gasification Combined Cycle:石炭ガス化複合発電)をはじめ環境に配慮した多様な高効率発電システムや先進的AQCSを提案・提供することにより、同国の旺盛な発電需要に応え、経済発展に貢献していきます。
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