11.2万kWの微粉炭焚き火力発電設備で国内最高のバイオマス混焼比率34%を実現 福島県の相馬エネルギーパークで木質ペレット燃料を用いて

発行 第 204号

◆ 10万kW級設備を対象とする定格負荷での熱量比30%台半ば到達は国内初
◆ 部分負荷での熱量比は50%、さらなる引き上げも可能

 

 三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は、微粉炭焚き石炭火力発電設備で木質ペレットのバイオマス燃料(注1)を熱量比にして最大34%の割合で混焼させることに成功しました。当社が福島県相馬市で相馬エネルギーパーク合同会社向けに受注し26日に竣工した出力11万2,000kWの発電設備での混焼試験において達成したもので、10万kW級の大規模微粉炭焚き火力発電設備では国内最高となる、定格負荷で30%台半ばのバイオマス混焼比率を実現しました。

 このバイオマス混焼試験は、発電設備の引き渡しに先立つ2018年1月から取り組んできたものです。試験ではまず、設計時の計画通りにバイオマス混焼比率30% (注2)で安定的に発電運転できることを確認。併せて、定格負荷でバイオマス混焼比率34%を達成するとともに、部分負荷では同50%を達成したことも実証できました。これにより、石炭専焼時に比べてCO2排出量を30%以上抑制することが可能となります。

 このバイオマス混焼式発電所は、相馬エネルギーパーク合同会社が運営するものです。当社は、2014年に三菱日立パワーシステムズ環境ソリューション株式会社(当時は三菱重工メカトロシテムズ株式会社)、三菱電機株式会社とのコンソーシアムによりEPC(設計・調達・建設)契約を結んで受注。当社は、石炭バイオマス混焼ボイラー、蒸気タービン、排煙脱硝装置ならびに脱硫装置などを製作・供給しました。

 このボイラーは、3系統の燃焼プロセスを備えており、そのうち1系統分の供給燃料を石炭からバイオマスに切り替えることにより、設備変更なしで運用することが可能となっています。三菱重工業株式会社の総合研究所で実施した燃焼試験の結果も踏まえ、バイオマス混焼比率を100%にまで高めることができることも確認。新設ボイラーへの適用に加え、既設ボイラーをバイオマス混焼比率の高いものに改造する際に活用することも可能です。

 MHPSは、石炭火力発電分野において、超臨界圧・超々臨界圧などの高効率発電技術などと並行して、バイオマスを高い比率で混焼させる再生可能エネルギー関連技術の高度化にも力を注ぎ、CO2排出量抑制など地球環境負荷の低減に貢献していきます。

  • 1バイオマス燃料は、成長過程で光合成によりCO2を吸収するため、「京都議定書」における取扱上、CO2を排出しないものとされています。
  • 2バイオマス混焼比率は、いずれも重量比ではなく熱量比です。
相馬エネルギーパーク合同会社が運営するバイオマス混焼式発電所
相馬エネルギーパーク合同会社が運営するバイオマス混焼式発電所

以上