プレスリリース

大岳地熱発電所向け発電設備更新工事が完了
地熱資源の有効活用でCO2排出量を抑制し、脱炭素社会に貢献

発行 第 330号

◆ 国内初「ダブルフラッシュ&デュアルプレッシャー方式」採用で、高圧蒸気と低圧蒸気を効率的に複合利用
◆ 発電出力は更新前に比べ2,000kW増の1万4,500kWに、10月から営業運転開始

三菱パワーは、九州電力株式会社が運営する大岳地熱発電所(大分県玖珠郡九重町)で進めていた発電設備の更新工事を終え、同設備が2020年10月から営業運転を開始しました。今回の更新工事では、高効率かつ信頼性の高い蒸気タービンの導入により、電力の安定供給はもとよりCO2排出量を抑制し脱炭素社会に貢献します。

今回の更新工事は、蒸気タービンを供給する当社が、周辺設備の供給・据付工事を担当する三菱パワーインダストリー株式会社、発電機および電気設備の供給を担当する三菱電機株式会社とJV(共同企業体)を組成し、EPC(設計・調達・建設)取りまとめを請け負う方式で実施、発電設備の更新を手掛けました。

発電方式には、国内初となる「ダブルフラッシュ&デュアルプレッシャー方式」を採用し、蒸気井の安定運転および地熱資源の有効活用を可能にするとともに、発電出力を更新前より2,000kW増の1万4,500kWまで引き上げました。2019年5月着工時の計画より工事を2ヵ月前倒しさせ、10月の営業運転開始を実現しました。

ダブルフラッシュ&デュアルプレッシャー方式は、噴出圧力の高い生産井から高圧の1次蒸気を、噴出圧力の低い生産井から低圧の2次蒸気を、それぞれ蒸気タービンに供給するとともに、1次蒸気から取り出した熱水を減圧することでさらに蒸気を取り出し、2次蒸気として利用するものです。

地熱発電は、地球内部に存在するマグマ溜りの熱エネルギーを利用し地上で燃焼させることがないため、大気へのCO2排出量が少なく地球温暖化の抑制に有効な発電方式です。また、再生可能エネルギーのひとつでありながら、地球内部の膨大な熱エネルギーを利用しており、季節、天候、昼夜のサイクルに左右されることがなく、火力発電とほぼ肩を並べる高い稼働率を確保できます。

九州電力大岳地熱発電所は、国内で初めての事業用地熱発電所として1967年8月に営業運転を開始しました。この発電所は、国内初の熱水卓越型地熱発電所でもあり、当社にとっては地熱発電設備商用機第1号となったものです。50年を超える長い運転期間を経て、電力の安定供給および脱炭素社会(持続可能な社会)の実現に寄与してきました。

当社は地熱発電分野において、世界13ヵ国から100件を超える受注実績を持っています。その総設備容量は320万kW超に達しており、世界の地熱発電設備容量の実績でトップクラスのシェアを確保し、地熱EPC事業者として、その安定運転に貢献してきました。

三菱パワーは、革新的な発電技術とソリューションにより、持続可能な脱炭素社会の実現に貢献するとともに、多様なグローバル社会の課題解決に取り組んでいきます。

【参考情報】
当社製品情報(地熱発電プラントについて)

大岳地熱発電所
大岳地熱発電所