商業規模のSAF製造実証およびサプライチェーン構築事業に着手 三菱パワーは噴流床ガス化技術で航空分野の脱炭素化に貢献
◆ NEDO助成事業で、JERA、TOYO、伊藤忠商事との4社共同により持続可能な代替航空燃料の社会普及を推進
◆ 液体燃料合成に好適な噴流床ガス化技術を商用規模実証機へ展開
三菱パワーは、株式会社JERA、東洋エンジニアリング株式会社(TOYO)、伊藤忠商事株式会社と共同で、木質系バイオマスを原料としたガス化FT合成(注1)による商業規模の持続可能な代替航空燃料(Sustainable Aviation Fuel:SAF)のサプライチェーンの構築に取り組みます。
本事業は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公募した「バイオジェット燃料生産技術開発事業/実証を通じたサプライチェーンモデルの構築」に採択されたものです。4社が共同で、国内における将来のSAF供給の一端を担う木質系バイオマス由来の航空燃料を早期に市場に流通させるために必要な条件、施策、技術的課題の検討に取り組んでいきます。事業期間は2021年度から2024年度の約4年間で、2021年度から約2年間の事業化可能性調査を行います。その結果を踏まえ、実証設備の建築やサプライチェーン構築に向けた準備フェーズへの移行を判断する計画です。
三菱パワー、JERAおよびTOYOは、2017年度から2021年度に実施したNEDO委託事業(注2)において、パイロットスケールでのガス化FT合成による連続SAF製造をすでに実証しており、製造されたSAFは本年6月17日に日本航空株式会社の定期便に供給されました。今後は、この実証事業で蓄積された知見も活かして、原料調達、製造技術、製品供給までサプライチェーン全体の確立に向けて本事業を推進します。
<本事業の各社の主な役割>
三菱パワー株式会社 | 商業規模ガス化設備基本設計 |
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株式会社JERA | 商業設備規模の検討、適用法令対応の検討、原料調達可能性調査、SAF原油と石油由来燃料の混合方法検討、SAF市場調査、事業可能性評価 |
東洋エンジニアリング株式会社 | 商業規模FT合成設備基本設計(蒸留設備含む) |
伊藤忠商事株式会社 | SAF供給方法検討、副生物の販売を含む活用検討 |
三菱パワーは、1980年代から蓄積してきた石炭やバイオマスなどの燃料ガス化の技術・ノウハウを活かし、パイロットプラントを用いた実証段階では中核となる常圧酸素/水蒸気吹き噴流床ガス化技術により、液体燃料合成に好適なガスを長期にわたり安定的かつ効率的に供給できることを実証しました。また、本ガス化炉は構造もシンプルであり、商用規模へのスケールアップも容易です。
三菱パワーは今後も、共同開発3社と緊密に連携してバイオジェット燃料生産技術実証・サプライチェーンモデルの確立に向けた取り組みを推進し、航空分野におけるジェット燃料に起因する温室効果ガス排出削減を実現することで、地球環境の負荷低減に貢献していきます。
- 1ガス化FT(Fischer-Tropsch)合成とは、木質セルロースなど固形物をガス化炉で水蒸気および少量の酸素と反応させて一酸化炭素と水素を生成し(ガス化)、触媒を用いたFT反応器で液体炭化水素(燃料)を合成する技術です。
- 2NEDO委託事業:バイオジェット燃料生産技術開発事業/一貫製造プロセスに関するパイロットスケール試験
- 事業概要:https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP_100127.html
- 事業期間:2017年度~2021年度
以上
三菱重工グループについて
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