最適負荷配分システム
概要
昨今の電力自由化や規制緩和によって工場運営は新たな競争時代に突入し、汽力設備をもつ工場は、これまで以上に経済効率の高い運用を強く求められるようになってきました。JOINT OPERATION SYSTEMは、このような時代の工場運用に対応します。
複数のボイラやタービンをもつ工場自家発電プラントにおいて、それぞれのボイラ、タービンが、最も経済性の良い蒸気発生量や発電量で運転できるよう、リアルタイムの最適化計算をおこない、その結果を表示し、これに合わせて制御します。
製紙工場や製鉄工場などでは、ボイラ・タービン・工場送気が複雑に構成されていたり、石炭・重油・高炉副生ガスなど多種の燃料を効率よく焚かなければならない場合があり、これに加えて電力デマンド、電力売買、蒸気デマンドなどの多様な要求を満たす必要があります。
どの瞬間においても、すべての条件を考えながら、全体を評価して最も経済性の高い運転パターンを見出すことが求められます。このシステムは、このような条件を多変数の方程式にして、刻々と最適解を導き出します。
これは次の3点によって実現します。
- 条件付き非線形の最適化問題としてn次多項式化した経済運用計算機能
- 検出誤差対策としての状態推定・経年変化に対応した各機器の運転特性の自動更新機能
- JOS計算結果を受けて分散型制御システム(DCS:Distributed Control System)などの制御システムに設定値を伝送し、もしくは操作端を直接制御する機能
プラントメーカとしての豊富な経験を生かしながら、工場汽力の最適運用という立場に立って、分散方式のパソコンやサーバを柔軟に構成し、最新のソフトウェア技術を駆使して、お客様のニーズにお応えします。
システム構成
最適負荷配分システム
最新のWindowベースのPCに、リアルタイム演算ソフトウェアを搭載します。オペレーションは、人間工学に基づいたオペレータステーション(OPS)操作とし、汎用パッケージソフトをベースにします。
制御装置との機能分担については、制御装置に集中化すべき機能と、分割すべき機能に配慮し、万一計算機異常の場合でも、制御装置でのバックアップによって安定した全ユニットの制御機能が維持できるようにしています。
機能
オンラインリアルタイム最適化計算
電力・蒸気デマンドの変動に追随して最適運用値を自動計算し、目標設定を運転員に知らせます。
オフライン最適化計算
工場の生産計画・エネルギー需要に基づいて年・月・週単位のボイラ・タービン運転台数の決定を行い、最適な運転計画を策定することができます。実運転データ及び機器設計資料からJOS適用によるメリットをリアルタイムあるいはオフラインで試算することができます。
機器運転特性モデル計算
ボイラ・タービンの特性は、燃料・工場送気量・発電量に対する非線型性を考慮したn次多項式で計算します。
経済運用計算モデル計算
電力系統、蒸気系統の収支を等式条件とし、また運用上の制約条件を不等式条件として記述し、時間帯別買電単価・燃料単価から総合発電コストを非線型最適化問題の解として定式化します。
学習機能による非線形モデルの自動更新計算
経年変化によって各ボイラ・タービンの特性が若干変化しますが、これは1~2パーセントの最適運用を問題にする観点から重要な要素となります。静特性、設計データをベースとして、実運転データから自動で経年変化の補正計算を行います。
電力料金パターン設定・受電カレンダー設定計算
電力料金は日々の時間帯によって決められており、最適な運用パターンはこの時間帯の組み合わせによって決まります。経済運用計算モデルは、この組み合わせから日々の最適パターンを算出します。
状態推定計算
蒸気流量などの測定では差圧流量計が使われますが、流量の少ない範囲では誤差が大きくなります。
プラントのマスバランス・ヒートバランスによる状態推定計算で精度を向上することができます。
デマンド制御機能計算
買電を契約買電力量以内に制御するために、デマンド周期終点での電力を予測し、発電機出力に余裕のない場合は、あらかじめ定められた順にフィーダを選択遮断予告・指令を出します。
製鉄所での通告業務
工場のエネルギ管理センターと電力会社中給指令所の双方からの電力デマンドに追従するよう、最適運用に必要な情報を運用管理関係部署に通告すると共に、その需給管理を行う機能です。