地熱タービンの適用技術

蒸気タービン

地熱蒸気には腐食性のガスやシリカのような不純物、塩分や土砂などが含まれており、地熱タービンでは性能向上技術に加え、耐腐食性なども考慮し材料選定および設計をする必要があります。このため、地熱タービンでは以下のような技術が標準的に適用されております。

  • 極低硫CrMoVローター材
    火力用低圧タービンロータに比べて、耐腐食性、応力腐食割れ、腐食疲労強度の低下に対して強化した材料であり、低硫化、低ニッケル、焼入れ温度の調整により、上記の特性を確保しています。
  • 12Cr/17-4PH材動翼
    通常、動翼には12%Crステンレス鋼を使用していますが、応力レベルの高い最終翼やスケールが付着しやすい第1段動翼には17-4PH鋼を使用しています。17-4PH鋼はH2Sを含む地熱蒸気中で腐食や応力腐食割れに対して12%Crステンレス鋼に勝る耐久力を有し、腐食疲労強度に優れています。
  • 3D動翼/ノズル
    完全三次元設計により翼形状を最適化し、二次流れ損失・摩擦損失の低減をはかった最新の翼形状です。
  • ISB動翼/最終翼
    Integral Shroud Blade(ISB)は翼根部(ルート)、プロファイル部、翼頂部(シュラウド)が一体形成されたデザインで、高度な組立作業を必要とせず、また運転中に互いの翼が接触することで耐振強度の大幅な向上と翼頂部のリーク低減により、飛躍的な性能・信頼性向上を図ったものです。
  • ドレンキャッチャー
    水滴によるエロージョン軽減のために、仕切板およびケーシングに水滴を捕集する構造を設けております。
index_im01.jpg

特に腐食性の強い蒸気に対応できるよう以下の技術も有しています。

  • 12Crロータ材
    Crの含有量を増加させ、応力腐食割れや耐食性を強化したローター材となります。
  • チタン動翼
    Cl(塩素)濃度の高い地熱蒸気を使用する地熱タービンに対して、第1段動翼などに使用します。
  • インコネル溶射/肉盛溶接
    グランド部など腐食の影響を受ける箇所にインコネル材を溶射し、耐食性を高めることができます。
  • 車室/仕切板の水平継手面へのステンレス肉盛溶接
    車室や仕切板の水平継手面にステンレスを肉盛溶接することで、該当箇所の耐エロージョン性を向上させます。